ナイマンズ・ガーデン – Nymans Garden

~蘇ったガーデン~

イングランド南部で人気があるナショナル・トラストのプロパティと言えば、ナイマンズ・ガーデンです。
中にある数種のガーデンでは、特にピンク系のローズのアーチと紫色のキャットミントで構成されたローズ・ガーデンが市民に愛されています。
作品に描いたボーダー・ガーデンも見事ですが、600エーカーに及ぶ敷地には、その他にもプラント・ハンターによって世界中から集められた樹木や珍種のマグノリア、シャクナゲなどが咲くガーデンがあります。
さらにはイングランドで初めてヒース(ヘザー)のガーデンが作られたのもここです。

ガーデンの奥には1947年に大火災に見舞われた邸宅跡があります。
かつては中世をしのぶ優美な建造物でしたが、植物や貴重な調度品と共に焼き尽くされてしまったのです。
しかし、当時の献身的なスタッフによってガーデンは蘇りました。
焼け残った邸宅の一部にはセンスの良い家具や装飾を施し、廃屋のような外観からは想像もつかないほど優雅な邸宅になったのです。

ナイマンズはおよそ100年の歳月をかけて、メセル家と彼らを支える3人のガーデナーによって作り出されました。
初代のヘッド・ガーデナーであるジェームス・コマーは58年間、2代目のセシル・ニースは修行時代から56年間、そして現在の責任者デービット・マスターズは1980年から現在に至るまで管理を行っています。
まさにガーデナーが生涯を尽くして作り上げた庭と言えるでしょう。

特筆すべきは、1987年に大嵐がこの地を襲った後のエピソードです。
ナイマンズの80%の樹木が剥ぎ倒され復興は不可能と誰もが思っていたのですが、ナショナル・トラストが大々的な修復キャンペーンを行い、傷ついた木々を挿し木によって蘇らせたのです。
この復興事業は自然とガーデニングを愛する英国市民ならではの成果として、人々の心に刻まれているようです。

英国ニュースダイジェストより
内容は「英国ニュースダイジェスト連載当時のもので、現在とは異なる場合もあります」

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