コーク・アビー – Calke Abbey

~野外コンサートで夏の夜を楽しむ~

イングランド中央部のダービシャーで大きな存在感を放っているのが、コーク・アビーです。
「アビー」とは「修道院」を意味しますが、ここはむしろ1つの村を思わせる大規模なプロパティとなっています。

入り口からシナノキの並木道を抜けると、左右に広がる広大な放牧地帯が見えてきます。
私たちは牛さんや羊さんたちを横目に見ながらこの一帯を徐行。
彼らは横を通る車なんてお構いなしの様子です。
広大な牧草地に囲まれるように、中にはこれまた雄大なランドスケープ・ガーデンが広がり、さらにその中央に豪華3階立てのカントリー・ハウスがそびえ立っています。

この邸宅は1701~03年にかけて建てられたもので、内部にはこの家のオーナーが収集した見事なはく製や化石が並び、まるで自然史博物館みたい。
中でも1800年代にかつての女王様からプレゼントされたという、中国刺繍をあしらった色鮮やかなベットは実に見事です。

さて、ガーデンに移りましょう。
邸宅を過ぎて小高い丘を上がっていくと、一瞬森に迷いこんでしまったかのような錯覚を覚えます。
まるで妖精が出てきそうな木立の中を進むと赤レンガのフラワー・ガーデンの入り口に出て、そこをくぐると今度はとてもチャーミングな花壇が目の前に現れます。
花壇に植えられた明るい黄色と深い紫の花々は、周りのウォール・ガーデンの景色とも溶け合ってとても可愛いげです。

ここを初めて訪問した日、夕刻からサマー・コンサートが開かれるということで早々にチケットを購入し、近所のスーパーで簡単な食事を用意してから折り畳み椅子まで抱えて出掛けました。
英国で体験する、初めての野外コンサート。
子どもも大人もお年寄りも1つになって夏の夜を楽しんだ、なんとも言えない幸福な時間が今でも思い出として残っています。

英国ニュースダイジェストより
内容は「英国ニュースダイジェスト連載当時のもので、現在とは異なる場合もあります」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA