モティスフォント・アビー・ガーデン – Mottisfont Abbey Garden

~ナショナル・コレクションのバラたち~

南イングランドの港町サウザンプトンの北に、ロムジーという小さな街があります。
この街の駐車場に車を止めてモティスフォント・アビー・ガーデンの入り口を過ぎると、まず目の前の清流をたくさんのマスが上っていく姿に驚きます。

そう、ここはマス釣りの聖地テスト川なのです。
そのテスト川を横目に小さな橋を渡ると、右手に瀟洒(しょうしゃ)な建造物が見えてきます。
これは1201年に寺院として建てられ、今は邸宅へと移り変わった建物です。

そして左手に進んでいくと、この地を世界的に有名にしたローズ・ガーデンが待っています。
このガーデンの歴史は意外と浅く、1972年に現在の形になりました。
当時ナショナル・トラストの庭園コンサルタントでもあり、1957年からこのモティスフォント全体の修復にも関わっていたグレアム・トーマスによって、それまでの家庭菜園をローズ・ガーデンに模様替えすることになったのです。

グレアムはケンブリッジ大学で植物と造園学を学び、園芸アーティスト、造園デザイナー、また数多くの園芸書の著者として1900年代に大活躍しました。
またナショナル・トラストの庭園コンサルタントとしては30年にわたって英国の主だった庭園の修復に努めています。
その功績は大きくたたえられ、75年にはOBE(大英帝国勳位)を受賞。
王立園芸協会からは彼の描いた植物画に対して金メダルが贈られるなど、数々の名誉ある賞に輝いています。

ローズ・ガーデンでは、オールド・ローズを中心に350種以上のローズを見ることができます。
見頃は6月。ナショナル・コレクションをはじめとした貴重な品種の数々がアーチに絡まり咲き誇る姿は必見です。
ピーク時にこのガーデンを散策していると「バラを見ながら」というよりも「バラに埋もれながら」歩いているような気分になります。

英国ニュースダイジェストより
内容は「英国ニュースダイジェスト連載当時のもので、現在とは異なる場合もあります」

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